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インタビュー

迎ラミンさん


2024年、図書館を舞台にしたショートストーリーへの参加をきっかけに、2025年2月に開催した図書館脱出ゲームのストーリー・問題を提供いただいた迎ラミンさんに、子どもの頃のお話や作家のお仕事についてうかがいました。

どのような子ども時代を過ごされていましたか?

迎:親の転勤にともない、幼稚園~小学校時代だけで4回も引っ越した記憶があります。待機児童になった関係で、小学校入学前にして早くも(?)「プータロー」生活を送る、という経験もしました(笑)

その中でも印象に残っている思い出はありますか?

迎:引っ越し先が団地だったこともあり、同じ棟やエリアに同世代の子どもがたくさんいて、しょっちゅう大人数で楽しく遊んだ思い出があります。当時の方が社交的だった……かも(笑)

迎さんは小田原高校出身とうかがっていますが、高校時代の思い出を教えてください。

迎:地元の皆さまにはお馴染みの「百段坂」の記憶がすぐに思い浮かびます。毎日通った通学路ということもあって、街中よりも駅西口側の風景の方が、なんとなく馴染み深いですね。

小田原高校と言えば「百段坂」ですよね!
その他、学生生活のエピソードがあればお聞かせください。

迎:高校時代は部活動に一所懸命でした。また、姉妹校となっている海外の高校を訪問するなど、貴重な経験をたくさんさせてもらいました。小田原高校って、地域では「ザ・進学校」なイメージがあるかもしれませんが、なかに入ってみると堅苦しい感じはまったくなくて、良い意味で自由、かつバイタリティに溢れているとても楽しい学校ですよ。

大学時代は、何を学ばれていましたか?

迎:大学では歴史学を専攻していました。なので、じつは社会科の教員免許を持っています。選んだ理由は単純で、世界史が好きで成績も良かったからです。

歴史学とは意外でした。世界史のどのようなところに惹かれましたか?

迎:先生が楽しく、かつわかりやすく教えてくれる方だったのが大きいです。様々な史実やエピソードが物語のように感じられるというか。特にヨーロッパ中世史が好きで、街に逃げてきた農奴が一定期間逃げおおせれば自由民になれるという、『都市の空気は自由にする』ルールのお話などは、まるで映画のようだと思いました。

ここからは作家のお仕事についてお話しいただきます。
デビューのきっかけを教えてください。

迎:小説投稿サイトで開催された「お仕事小説」のコンテストに入賞し、デビューさせていただきました。結果、調子に乗って応募した3作中2作が商業作品(の原型)になったし、ありがたい限りです。

小説投稿サイトに応募する以前から作家を志したり、物語を書いたりしていましたか?

迎:中学生のときにちょっとだけ、文芸部だったことがあります。部員が少ない年だったようで、「他の部との兼部でもいいから!」と顧問の先生に誘っていただいたのがきっかけでした。たしか文集には修学旅行絡みのエッセイと、あと何か短編のお話を書かせてもらったような……。といっても、2年生から3年生にかけてのわずかな時期だったし、すっかり忘れていました。(先生、すみません!)

学生時代から作家につながる活動に関わっていたんですね。
物語のアイディアはどのように生まれることが多いですか?

迎:普段の生活のなかで印象深いニュースや史実、エピソードに触れたとき、「これをモチーフにできるかも」と考えたりします。あとは、夢! 胸がドキドキしたり、涙を流すような夢を見て目が覚めたとき、忘れないうちにその内容をメモすることがあります。冷静になって読み返すと、意味不明なストーリーの場合も多いんですが(笑)

夢!それは唯一無二の作品が出来あがりそうですね(笑)
「お仕事小説」というジャンルをよく書かれていますが、「お仕事小説」の魅力や書いていて大変なことを教えてください。

迎:頑張る誰かを応援したくなるストーリーが多く、その気持ちを通じて自身も勇気や元気をもらえること、がお仕事小説の魅力でしょうか。大変なことや気をつけていることは、専門知識を物語のなかで無理なく解説すること……ですかね。というか、他にもたくさんあるでしょうから、逆に私が訊きたいです(笑)

ここからは読書に関する質問をさせていただきます。
SNSで読了された本の投稿をされているようですが、よく読まれるジャンルや作家さんはいらっしゃいますか?

迎:実際にお会いしたり、それこそSNSを通じて優しくしていただいたことのある作家さん方のご著書は、ジャンル関係なしによく読みます。お人柄が素敵だと、作品も素敵なのだとお世辞抜きに思います。

作家の方同士の交流があるのはいいですね。特に思い入れのある本はありますか?

迎:う~ん、たくさんありすぎて迷うなあ……。じゃあ今回は、辻村深月さんの『スロウハイツの神様』で! 何度読んでも胸が揺さぶられる、大好きな作品です。残念ながら辻村先生とは、お会いしたこともネット上でお話しさせていただいたこともないんですけど。というか雲の遥か上の方ですし、単なる一ファンです(苦笑)

迷うほど読まれている、というのも素敵ですね。
子どもの頃から本はよく読まれていましたか?

迎:家族全員が読書好きなので、子どもの頃から本は身近にありました。ただ、その影響か、小学生~ティーンの時点で西村京太郎さんのトラベルミステリーや池波正太郎さんの「鬼平犯科帳」シリーズなどに親しみ、逆に大学に入ってからライトノベルの存在を知るという、よくわからない読書遍歴だったりします(笑)

最後に、中高生に向けてメッセージをお願いします。

迎:まずは健康で、元気に毎日を過ごして欲しいです。そして、もしも辛いことや苦しいこと、特に心や身体を傷つけられるようなことがあったら、絶対に一人で抱え込まず、信頼できる大人に相談してください。つらいときに誰かの力を借りるのは、全然恥ずかしい選択じゃありませんし、むしろ勇気ある素晴らしい行動ですから。そうして皆さんがトラブルやアンラッキーも乗り越えながら、笑顔で成長していけるよう、私もひとりの大人として心の底から応援しています!

プロフィール

迎ラミン
小田原高校出身。小説家。『白黒パレード~ようこそ、テーマパークの裏側へ!~』(マイナビ出版/2018年)で「第三回お仕事小説コン」(小説家になろう×マイナビ出版)優秀賞を受賞しデビュー。『保健室のヨーゴとコーチ』(光文社/2019年)では小田原市を舞台にした作品を書く。働く人々が様々な困難や謎に直面しながらも奮闘する、「お仕事小説」ジャンル等を中心に執筆中。